「農す神戸」
里山+都市。神戸市北区のちょうどいい暮らし

農す神戸 no.1

淡河かやぶき屋根保存会「くさかんむり」

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阿部さんの所属する、かやぶき屋根保存会。茅葺き古民家が数多く残る神戸市北区淡河町を拠点に、茅葺き屋根の魅力を発信していく活動を展開。茅葺き屋根という「じいちゃんばあちゃんの知恵袋」の力を借りて、人と自然、都市と農村、昔と今を見つめ直し、新たな関係の創造をめざしています。
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約700棟(平成27年度調査)もの伝統的な茅葺き民家が現存する北区。豊かな田園風景が広がる淡河町を拠点に、屋根の葺き替え作業や茅葺きを維持する仕組みづくりを行い、茅葺き文化の魅力を伝えているのが「淡河かやぶき屋根保存会 くさかんむり」である。
かつて、茅葺きは農業と共にあり、刈り取った茅が乾燥する冬場に、複数の農家がお互いの家の屋根を葺き替え合うのが日常だった。茅が傷んだら取り替え、古くなった茅を肥料として土に還す…自然の恵みを無理なく活用していくサイクルもあった。現在は農家の減少や高齢化が進み、お金も手間もかかる茅葺きの維持は困難に。茅葺き職人は減少し、良質な茅は年々手に入りにくくなっている。
そんな中、「くさかんむり」が力を入れているのが、茅で基地を作ったり、茅場で茅刈りを行うなど、茅葺きの魅力を子どもたちに伝えるワークショップの開催だ。さらに茅葺き古民家の見学ツアーや茅葺き作業の見学会、茅場での茅刈り体験など数々のイベントを仕掛けるほか、海外の茅葺き事情の視察や技術交流なども実践。全国各地での茅葺き屋根の葺き替え作業や茅場づくりなど、茅葺き職人チームとしての軸となる活動を越えたフィールドは実に幅広い。
「今、茅葺きの文化や風景を守るために必要なのは、まず知ってもらうこと。気軽に参加できるイベントで、子どもたちに楽しい!と感じてもらうことから若者や周囲の大人に関心の輪が広がっていくといい。屋根の材料を選ぶ時に茅葺きが選ばれるとか、茅葺きの風景が普通になるといいですよね」と語る、代表の相良育弥さんは2015年11月に神戸市文化奨励賞を受賞。自然と人、農と人、人と人など、風土やさまざまな関わり合いを通じて受け継がれてきた茅葺き文化を伝え、根付かせていく「くさかんむり」に寄せられる期待はますます熱を帯びている。

 

150919阿部洋平さん0172_三木山森林公園WS_参加者と集合写真

2014年から始まった「親子で楽しむちびっこ秘密基地づくり」兵庫県立三木山森林公園にて。

 
150929阿部洋平さん0267_宍粟市歴史資料館_道具

葺いた茅を切りそろえて整える屋根ばさみなど、作業で使う道具一式。

 
150919阿部洋平さん0121_三木山森林公園WS_職人の技

茅葺き職人は、子どもたちに本物の技を見せる。

 
150919阿部洋平さん0098_三木山森林公園WS_相良さんと子ども

代表の相良育弥さん、イベントでは笑顔を絶やさない。