三陸人 no.14
箱石 リヱ
「ムラとかあっても気にしないのよ〜」と箱石さん。それがさをり織りの良さだ。元々かっちりした「裂き織」をしていたので、初めは自由すぎる織り物に抵抗があったそうだが、今では、毎朝仮設の集会所に「出勤」して夕方まで織り機と向き合っている。「これやってる間は無心。悲しいこともいろいろ忘れられるのよ」という言葉は深い。そして「ここ(仮設)にいたお蔭でさをりと出会えたから、死ぬまで織りますよ」と静かに笑う。そして、今の気分で横糸を淡いピンクに差し替えると、再びコトンコトンと朝からの続きを編み始めた。