三陸人 no.55
石渡 久師
干したふかひれから、加工商品に向いているものを選別する
サイズを振り分け、ゴミなどがついていたら取る
水で戻す。小さいものは1日から、大きいものでは何日も時間が必要。サメは独特の匂いが出るため、水は毎日取りかえる
みずで戻したふかひれを点検し、料理店などへ出荷する
気仙沼はふかひれ生産高日本一で知られる。製造がはじまったのは江戸時代の末。マグロ漁でサメが大量に混獲(こんかく)され、マグロ運搬のクッション代わりにも使われていたという。ひれは加工場に運ばれて天日干しされる。山にそって吹く西北風「室根おろし」が良質のふかひれを作るのに適しているのだ。石渡商店の3代目である石渡久師さんは、ふかひれに囲まれて育った。今回の津波で工場は全壊。他の同業者もすべて被災した。「再建するには大きなリスクが伴う。後継者である自分たちがふかひれ生産者としての土台固めをせねばと、“気仙沼ふかひれブランドを守る会”を立ち上げました」。メンバーはふかひれ加工業者の跡とり6名。地元の祭りや千葉県柏市のミュージックフェスに参加し、ふかひれ料理をふるまい、Tシャツを作ってアピールした。「サメはフライにすると身もうまい。革は高級バッグに使われている。新しい商品開発も考えています」と石渡さん。どんなサメ商品が飛び出すか、楽しみだ。