三陸人 no.54
髙橋 和江
「気仙沼つばき会」は女性の視点から気仙沼の観光を考えるために2010年に結成された会だ。会長の髙橋和江さんは、「御誂京染(おあつらえきょうぞめ)たかはし」の若女主人。活動はさまざまだが、最初に行ったのは出港する漁船を見送る「出船おくり」を観光客と行うという試みだ。震災前年の5月に第一回を行ったところ、集まったのはなんと300人!「大盛況でした。観光客はもちろん、船員さんも喜んでくれて」。今では気仙沼の新しい観光名物となっている。「つばき会のみんなはここが大好きで、“いいところだねー”って言って欲しい一心なんです」。震災では髙橋さんの店も浸水。しかし、数日後、「着物を洗って欲しい」という客が次々に来店した。店の軒先で着物を預かり、泥をとり水で手洗いして、京都の業者に送った。その数2500点以上。「着物に詰まった思い出を大切にしている人のなんと多いことか。日本人って素晴らしいです」。今後は、震災を教訓としたまちづくりをしていかねば!と髙橋さん。その決意は固い。