三陸人 no.10
小笠原 謙逸・信子
大正元年創業の水産加工会社、小が理商店。震災で家族は無事だったものの、工場と自宅の1階部分は瓦礫の山に。店の前で小笠原謙逸(けんいつ)さんと奥さんの信子さんは、呆然とした。その数日後、全国から再建を求める励ましの言葉が多く寄せられ、「自宅は後回しにして、GWには工場を再稼動させた」と小笠原さん。幸いにも高台の冷凍庫の魚は無事だった。どんな困難な場面でも「今はもう毛(儲け)がないよ」とだじゃれで周りを笑わせる。そんな小笠原さんを慕って、ボランティアに来た人たちが会いにくるとか。「ご縁がたくさん生まれて、ありがたいねぇ」。