三陸人 no.9
佐々木 信男
塩蔵(えんぞう)した南部鼻曲鮭(はなまがりさけ)を、極寒の環境(-20度)のなかで広葉樹のチップを使ってじっくりと燻す。できた冷燻(れいくん)の鮭はまるで生ハムのようにしっとり、旨味が口いっぱいに広がる。調味料は塩しか使っていないなんて驚きだ。南部鮭冷燻の生産者、佐々木信男さんは、「ナラ、栗、ケヤキなどの広葉樹には、食材をおいしくさせる成分と保存力を高める成分が120種ほどある」と話す。元宮古市の職員。退職して今は鮭冷燻の職人として、小さな燻製庫で日々作業に打ち込む毎日だ。「宮古の鮭は日本一うまい!冷燻で鮭の付加価値を高めたい」。