三陸人 no.6
赤沼 秋子
一口食べるとカリッ、ふわっと口の中でとろける、どんこ(エゾイソアイナメ)の唐揚げ。仮設商店街にある善助屋食堂の看板メニュー「どんこ唐揚げ丼」だ。震災前、食堂があったのは、巨大防潮堤のそば。地震が起きたとき、店主の赤沼秋子さんは厨房にいたが、すぐに高台へ避難。押し寄せた津波は店や自宅を跡形もなく飲み込んだ。避難所に身を寄せるも、何かしていないと落ち着かなかった。「毎日、食堂の跡地に行きました。船が流されたのに、お父さんが漁で使うカゴを泥のなかから拾ってきた。それ見て涙が出てきて」。そんなとき、瓦礫の撤去作業をしていた食堂の常連たちから、「食堂のラーメン、食いたいなぁ」「早く復活してくれよ」と声をかけられた。「復興のために頑張っている人たちに励まされて、絶対にまた店を開こうと心に誓ったんです」と赤沼さん。同年5月には仮設テントで、そして9月には現住所で営業を開始。お客さんの笑顔のために、今日も赤沼さんはどんこを揚げる。
住所:岩手県宮古市田老字新田148
グリーンピア三陸みやこ
たろちゃんハウス1F
電話:0193-87-5710
営業時間:昼11:30~15:00
夜17:30~21:00
定休日:水
アクセス:宮古駅より車で15分