三陸人 no.27
笹山 奈奈子
三陸沿岸の人たちは信仰心が強い。実家が神楽巡行のお宿をしていた奈奈子さんはなおのことだ。実は震災の2日前、奈奈子さん、お母さん、おばあちゃんの3人が揃って「鵜鳥(うのとり)神楽」の夢を見たそうだ。大きな被害を受けた鵜住居(うのとりすまい)地区で家族全員が無事だったのは「鵜鳥の神様が守って下さったから」だと信じている。そんな奈奈子さんは震災後、地域のおばあちゃんたちを喜ばせたくて「神様と地域の人々が集まる場」として奈奈子祭を発案。1回目は鵜鳥神楽の宿でもある実家で、2回目は釜石市根浜(ねばま)の旅館宝来館に場所を変えて。敢えてステージは設けず、客と出演者が「平面上の交流」をするのが奈奈子流。そこが、従来の数ある伝統芸能祭との大きな違いでありこだわりでもある。今後は「関東や関西から来て、観て、応援してほしい」。それが奈奈子さんの切なる願いだ。これからも季節や場所を変えて継続していく計画だ。ぜひ、地域の人たちと一緒になって奈奈子祭を観てほしい。