三陸人 no.72
彩プロジェクトの女性たち
南三陸の家々の神棚を飾る正月の伝承切り紙「きりこ」。町の観光資源を掘り起こそうと彩(いろどり)プロジェクトが2010年夏に活動を開始。アートでまちづくりを行う団体ENVISIとともに、家々の歴史や逸話をモチーフにきりこの様式を真似て切り紙を作り、通りに飾った。翌春、津波によってその街並みが消えた。「もう一度みんなできりこを作りたい」というメンバーの思いに全国からきりこが送られ、彼女たちのきりこをもとに作られた大きなパネルが、街の跡地に立てられた。悲しみの廃墟から大切な思い出の場所へ。白い切り紙は人の心と記憶をつないだのだ。