農す神戸 no.3
【北区体験レポート】
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北区は日本の古き良き伝統を感じさせるお祭りがたくさん行われているのも魅力です。編集部スタッフが淡河町の秋祭りを観に行ってきました!
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青年たちは「チョーサ!」とかけ声をあげ、太鼓と呼ばれる山車(だし)をかく。この地域のかけ声は「ワッショイ!」ではなく「チョーサ!」であり、また「かつぐ」ことを「かく」という。山車の上には小学生の少年たちが乗り太鼓を叩く。中学生の女子数人は、白と赤の装束を身にまとい鈴を鳴らしながら舞を踊る。女性たちは、仕立ての良い着物をきれいに着て子どもたちの晴れ姿を見守っている。年配の方は山車の音頭を取ったり、行事全体の世話をする。参道には赤ん坊を抱く若いお母さんから、杖をついたお年寄りまでがにぎわう。この祭りは、老いも若きもみんなが共にいて、地域の絆を感じさせる。
今回観にでかけた北区淡河町の、淡河八幡神社秋季例大祭はまさに農村のお祭りだ。こうした地域では1年のサイクルが農耕とともに決められ、神社の祭りにもそれが反映されている。まず2月。今年も良い収穫が得られますようにと祈年祭。そして6月の田植えが終わって暑い夏を乗り切りましょうと7月の夏祭り。10月、いよいよ稲穂が実り無事収穫ができますようにと祈願するのが、今回訪れた秋季例大祭。そしてその秋に穫れたお米や野菜を神様に捧げつつ、感謝するのが11月23日の新嘗祭(にいなめさい)だ。
秋祭りが始まるとき、挨拶の方は「いやさかー」という独特のかけ声で唱和していた。宮司さんにお尋ねしたところ、「共に、一緒に」という意味であるとのこと。「共に栄えていきましょう。助けあっていきましょう。健康で一緒にがんばっていきましょう」。めでたい神事のときに使われるのだという。今回は一人で観に来たが、次はこの田舎の素朴な秋祭りをうちの息子にも見せてやりたいと思った。「神様がおられる神輿は地元の中学生たちがかくことになっています。けれど子ども神輿というのが別にあって、これは地域の人でなくても、どなたでもかいていただきたい。どうぞどうぞ、田舎のお祭りを体験してください。『共に』祝いましょう」。
( 2015 年 10 月 4 日に取材 )
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