「三陸人」
三陸地方の人々に出会う旅

長年、サンマ船の漁師だった大磯正一郎さん。現在はワカメの養殖業を営むかたわら、碁石海岸で観光遊覧船の船長も務める。波に揺られながら小さな小型船（サッパ船）で穴があいた大岩、穴通磯を通るのはスリル満点！海は10日あったら10日間違った表情になる。それを見極めるのがベテラン漁師のなせる技だ。「ガキのときからここにいるからね。このあたりはゴツゴツした岩が多いから、普通の漁師はびびるよ。こっちもお客さん乗せてるから、神経使って運転しているよー」。ワカメの養殖場も家も津波で流された。震災の年はワカメは収穫ゼロだったが、その収穫高も戻りつつある。孫が大学受験だそうで、「“じいちゃん、ワカメはあと5年がんばってけろー”って。死ぬまで働かせる気かーっ（笑）。じゃあ、観光船ももうちょっとやるか、って思ってんのす」。今は仮設住宅暮らしだが、「もうすぐ高台に家が建つんだよ」と船からうれしそうに指差して見せてくれた。