地方の人々に出会う旅

新宮人 no.10

あたたかく、厳しく成長を見守る ─ 駄菓子屋のおばちゃん

田岡 節子

image1

今でも10円で買える駄菓子がいろいろある。

IMG_6453-e1449972046210

懐かしいハイシーのオレンジジュース。

IMG_6454-e1449972092716

子どもたちが写生したお店の絵が飾られている。


PageTop

三輪崎小学校の真ん前にある、駄菓子屋の田岡商店。100円玉ひとつで、あめやスナック、ガムなどいろいろ買える駄菓子は子どもたちの放課後の楽しみだ。ここで長年、子どもたちの成長を見守ってきたのが田岡節子さん。子どもたちが計算しやすいように、100円分買ったら108円と書かれた消費税の早見表がレジのところに貼ってあり、「おこづかいで買えるだろうか」とみんな真剣に計算をしてお菓子を買う。

 

「“算数の計算はそこまで一生懸命にやらないのになー”とある先生は言っていたぐらい、ささっとお菓子だったら計算できる子もいるよー(笑)」。

 

毎日、子どもたちの様子を見ていると、誰がいじめられているのか分かるという。弱い子のお菓子を半分取るようなガキ大将がいたら、追っかけていってしかりつけてきた。

 

「“あんた今、取ったやろ! 家庭訪問行くよ!”って本当に家庭訪問に行ったこともあるよ。その子の親も理解があったから“ゆうてくれてありがとう”ってね。嫌われても言いますよ。社会に出たら恥ずかしいよーって。でもね、“田岡のおばさんに怒られても嫌じゃない”って言いますね。私も近所のおじちゃん、おばちゃんに怒られて育ったしね」。

 

自分のことを心配して怒ってくれていることを、子どもたちも分かるのだろう。中には、「両親がまた喧嘩をして寝られへんわ」と悩みを打ち明ける子もいるという。そんな田岡さんに会いに卒業生がたびたび訪ねてくるとか。

 

「 “おばさん、年取ったなー”という子もいれば、“僕らが来ていた時と変わらんがー”という子たちもいて、話がはずむわね。やっぱり来てくれるとうれしいねー」。

 

子どものころのオアシスは、みんなの心に甘酸っぱい思い出の場所として刻まれているのだろう。

田岡商店

住所:新宮市三輪崎3-3-9
電話:0735-31-8959
営業時間:7:30-19:00
休業日:日曜日(祝日は不定期)

 

「地域の魅力的な人々に会いに行く」をテーマに、
各地域に住まう人々をフィーチャーしたガイドブック、
Community Travel Guide(コミュニティトラベルガイド)

新宮の魅力的な“女性”に会いに行く
Community Travel Guide
「新宮人」

は、書籍版コミュニティトラベルガイドの世界観を踏襲しながらも
「地域で働く、地域に住まう“女性”」で構成される
新宮市魅力発信女子部が「地域で活躍する魅力的な“女性”」に
フォーカスし、オンラインガイドブックを制作、発展させていく
プロジェクトです。

新宮人で紹介している女性たちは、新宮市魅力発信女子部のメンバーが
推薦した約200人から、魅力的な女性を選抜し掲載しています。

その女性たちの暮らしや働き、語らいから、
新宮のことを知ってもらいたい
新宮にお越しいただきたい
そんな思いをぎゅっと詰め込みました。

女性の活躍に注目が集まる昨今、熊野信仰の歴史息づく
和歌山県新宮市を舞台に、ほかの地域にはない特色を
前面に打ち出したコンテンツを、市民、行政職員が
一体となって創造していきます。

「新宮人」プロジェクトのこれからに、ぜひご注目ください。

新宮市魅力発信女子部 一同