地方の人々に出会う旅

新宮人 no.20

登山ガイドでも大活躍 ─ 熊野の自然から発想を得る女性版画作家

番留 京子

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日本神話において、神武天皇の熊野国の道案内をしたとされるやたがらすをモチーフにした作品。

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仕事道具の彫刻刀。彫る線によって、使用する刀が違う。

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木彫りの作品。自然からインスパイアされた架空の動物たち。


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東京の下町で育ち、高校生の頃に見たロートレックの版画に衝撃を受け、版画作家として生きることを決意した番留京子さん。やたがらすなどの動物や自然を版画で表現したダイナミックで鮮やかな作品は、一度見たら忘れられない余韻を心に残す。タイやインドネシア、中国、メキシコを訪ね創作活動をしていた番留さんが、熊野川町に移住したのは1992年のこと。

 

「奈良県の作家の友人から熊野川町の廃校になった小学校をアトリエとして借り、アーティストビレッジを作ろうと誘われたんです。学校をアトリエとして使えるなんて憧れでしたから、両親の反対を押し切って移住を決意しました。さて引っ越し、という段階になり友人は“やっぱり行かれない”ということになって私だけ移住しました」。

 

当初は牛乳やパン、ハムが食べたくて仕方がなかったがそれもすぐに慣れた。番留さんの創作意欲をかきたてたのは、美しい熊野の山々や穏やかな日々の生活だ。

 

「川のせせらぎ、山のこだま、鳥の声、虫の声など、24時間癒やしのサウンドのCDがかかっているような状態。夜は真っ暗だけど、闇があるから月明かりがきれいなんです」。

 

友人が来るたびに、本宮から那智大社までの古道や地元の滝巡りのコースを案内していた番留さんだが、熊野古道が世界遺産になるタイミングで、世界遺産語り部養成講座の募集を見る。「自分の好きなことですから、やってみようと思って講座を受けました」。今では日本山岳ガイド協会の登山ガイド資格を取るまでに。

 

「熊野古道は信仰の道、祈りの道ですから、単なる登山と違うんですよね。歩いていて気持ちがいいですよ。新しい作品の発想にも反映されます。ただ、最近はガイドの仕事が忙しくて作品作りに集中する時間がなかなか取れないのがつらいところです(笑)」。

 

熊野をテーマにした絵本も作ってみたいと話す番留さん。出来上がるのが楽しみだ。

 

 

熊野川町語り部の会

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(JR新宮駅構内 新宮市観光協会)
電話:0735-22-2840
営業時間:9:00-17:30
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