新宮人 no.24
浅井もと美/高橋美智子
有名人のお座敷での逸話など、貴重な話がポンポン飛び出す。
熊野速玉大社にて芸者時代のもんちゃん。
舞妓さんとしてデビューしたときのみっちん。16歳だった。
今も残る、大王地のあんどん。風情を感じさせる。
かつては木材の集積地として栄えていた新宮市。花街だった大王地は林業に携わる旦那衆たちが通い、芸者も1960〜70年の繁栄時には100人ほどいたときもあったという。
浅井もと美さん(写真右)と高橋美智子さん(写真左)はその時代、芸者として活躍した美人姉妹だ。二女だった高橋さん(通称みっちん)が花街に入ったのは15歳、長女の浅井さん(通称もんちゃん)はその2年後のこと。父が病気がちで経済的な理由からだった。
「もんちゃんはきれいでね。どえらい売れっ子やった。代わりに私が行くと、お客さんに“こんなの呼んでない”って言われたよ。もんちゃんは一滴も飲めなかったけど、私は芸もないから飲む専門。これしか勝てん(笑)。飲み過ぎるともんちゃんにつねられた」とみっちんはケラケラ笑いながら話す。芸者時代は、昼間は踊りに三味線、長唄、小唄、鳴り物とお稽古三昧、夜はお座敷に上がり、忙しく厳しい毎日だったが、姉妹二人、励まし合ってがんばってきた。
「辛かったと言って、親を恨んだりはしていないですね。そういう時代でしたから」ともんちゃん。顧客の名前を聞くと、俳優の勝新太郎や北大路欣也、横綱の大鵬、作家の中上健次、野坂昭如などそうそうたる面々。みっちんの歌をお座敷で聞いた監督に気に入られ、北大路欣也主演の映画『火まつり』に出演したことも。「ガラの悪いホステスの役だったんだけど、もんちゃんは上品だったから私に声が掛かった(笑)」。
現在、もんちゃんはスナック「司」のママとして、みっちんは娘さんが経営する「ほほえみ」で週2回、働いている。華やかだった時代の大王地の花街の話など、じっくり聞いてみたい。
「地域の魅力的な人々に会いに行く」をテーマに、
各地域に住まう人々をフィーチャーしたガイドブック、
Community Travel Guide(コミュニティトラベルガイド)
新宮の魅力的な“女性”に会いに行く
Community Travel Guide
「新宮人」
は、書籍版コミュニティトラベルガイドの世界観を踏襲しながらも
「地域で働く、地域に住まう“女性”」で構成される
新宮市魅力発信女子部が「地域で活躍する魅力的な“女性”」に
フォーカスし、オンラインガイドブックを制作、発展させていく
プロジェクトです。
新宮人で紹介している女性たちは、新宮市魅力発信女子部のメンバーが
推薦した約200人から、魅力的な女性を選抜し掲載しています。
その女性たちの暮らしや働き、語らいから、
新宮のことを知ってもらいたい
新宮にお越しいただきたい
そんな思いをぎゅっと詰め込みました。
女性の活躍に注目が集まる昨今、熊野信仰の歴史息づく
和歌山県新宮市を舞台に、ほかの地域にはない特色を
前面に打ち出したコンテンツを、市民、行政職員が
一体となって創造していきます。
「新宮人」プロジェクトのこれからに、ぜひご注目ください。
新宮市魅力発信女子部 一同