新宮人 no.7
西 操
その日仕入れたばかりの大きくておいしそうな梨。
「昔はね、猫の手も借りたいほど忙しかった。昭和20年頃ね。私は女学校を卒業して専売公社に就職するつもりだったんだけど“店を手伝え”って母親に言われて、私もようほっとけんしね。それで店を手伝ったのよ。はははは」と浅利八百屋の名物おばちゃん、西 操さん。
「本当にえらかったよ(忙しかったよ)〜。その頃は新宮も活気があったね〜」。
その頃ほどの忙しさはないけれど、今も常連客がひっきりなしに浅利八百屋に訪れ、夕方には野菜はほとんど売れてしまう。西さんは月曜日から土曜日まで毎日4:50に起き、駅前近くにある市場に通っているが、雨が降っても欠かすことはないという。
「遠くからもお客さんが来てくれるからね。ありがたいよ。少しでもおいしい野菜を仕入れなきゃね」。
お店の常連さんは、「浅利のおばさんは楽しいでしょ? 私なんて毎日、おしゃべりに来ている。そろばんの計算も早いわよー」と隣で口を挟む。
「お客さんがやさしい。本当に涙が出てくるくらいやさしいよ。いい人ばっかり」。
それは、西さんがとても謙虚なお人柄で、何に対しても感謝の気持ちを忘れず、誠心誠意お客さんと接するから、周りの人たちもやさしい気持ちになれるのだろう。
元気の秘訣は、お客さんとのおしゃべりとたくさん笑うこと、それと動くことだそうだ。ちょっぴり痛んで商品にならない野菜をミキサーにかけ、那智勝浦の丸正酢醸造元の黒酢を入れた自家製ジュースを飲むのも健康のもと。
「病気したことないねー。ずっと元気よ。病院にも入ったことない。それが自慢やね」。
「地域の魅力的な人々に会いに行く」をテーマに、
各地域に住まう人々をフィーチャーしたガイドブック、
Community Travel Guide(コミュニティトラベルガイド)
新宮の魅力的な“女性”に会いに行く
Community Travel Guide
「新宮人」
は、書籍版コミュニティトラベルガイドの世界観を踏襲しながらも
「地域で働く、地域に住まう“女性”」で構成される
新宮市魅力発信女子部が「地域で活躍する魅力的な“女性”」に
フォーカスし、オンラインガイドブックを制作、発展させていく
プロジェクトです。
新宮人で紹介している女性たちは、新宮市魅力発信女子部のメンバーが
推薦した約200人から、魅力的な女性を選抜し掲載しています。
その女性たちの暮らしや働き、語らいから、
新宮のことを知ってもらいたい
新宮にお越しいただきたい
そんな思いをぎゅっと詰め込みました。
女性の活躍に注目が集まる昨今、熊野信仰の歴史息づく
和歌山県新宮市を舞台に、ほかの地域にはない特色を
前面に打ち出したコンテンツを、市民、行政職員が
一体となって創造していきます。
「新宮人」プロジェクトのこれからに、ぜひご注目ください。
新宮市魅力発信女子部 一同