元祖「ソースカツ丼」を 受け継ぐ三代目

カツ丼というと“ 卵とじ” が全国的には一般的だが、福井では “ ソース” カツ丼のことを意味する。「福井出身者は県外でカツ丼を注文して驚くことが多いみたいですね」。そう話すのは、元祖“ ソースカツ丼” の味を守るヨーロッパ軒の三代目、範行(のりゆき)さん(中央)。いまでも毎日ソースカツを食べる生粋の福井人だ。そもそもソースカツ丼は、範行さんの祖父がドイツで料理修行後ドイツ仕込みのウスターソースをアレンジして味付けしたのが始まりだそう。箸で切れるほど柔らかいカツとソースの甘味と酸味が醸すまろやかな口当たりは、一度食べたら忘れられない味だ。

福を届けるそば打ち職人

「そばを打つときは自然体。こだわりはないよ」。永見雄二さんの答えは、大きな体に似合わず控え目だ。趣味で始めたそば打ちが人気を呼び、1998 年に「あみだそば 遊歩庵(ゆうぶあん)」を開店。その旨さは、一度食べてみればわかる。たっぷりの大根おろしと出汁の旨みが絶妙なバランス。その永見さん夫婦が仲間と今取り組むのが「福の井」プロジェクトだ。「福がこんこんとわき出る井戸」を意図して「福の井」ブランドをつくり、地酒やそばを販売している。雄二さんの傍らでいつも微笑む妻の和美さん。そんな2 人がふるまうそばは、まさに「福」を感じさせてくれる。

新しいメニューが次々と 「県庁食堂」の若き担い手

福井城跡地のお堀の中という、贅沢なロケーションにある福井県庁。その1階にあるのが「県庁食堂」だ。店主である小原大輔さん(中央)はサラリーマンを経て、2004年に先代の父親の下で料理の修業を始めた。「社会に出て父の仕事の大変さ、その情熱を知り、下で働きたいと思ったんです」。2011年に先代が亡くなり、現在は小原さんが1人で食堂を切り盛りする。カレーバイキングやデザートサービスデー、火・木曜限定の若狭牛ステーキ丼など新しい試みに次々と挑戦するのは「おいしかった!」とお客さんの喜ぶ顔が見たいから。そんな彼の頑張りに惹かれて利用客が増加中だ

切符の販売から観光案内まで 笑顔で旅路を彩る

「ご案内しましょうか?」声をかけてくれたのは列車に乗務するアテンダントさんだ。切符の販売、高齢者の乗降補助、はたまた移動中の話し相手まで軽やかに列車の中を行ったり来たり。古く段差が多い駅舎、半数以上が無人駅という不便さを解消するため“アテンダント乗車型”という全国でも珍しい方法を取り入れているそう。そんな努力のかいもあり昨年度の利用者は323万人と過去最高を記録。「100万人の人に1回乗ってもらうよりも1万人の人に100回乗ってもらいたい」と設立当初からのメンバーで現在は広報担当の岡田さん。はにかむ笑顔の先に愛されるえち鉄の秘密が見えた。